◇成立の見通し
2000年(平成12年)の制度施行後、初めての大幅見直しとなる介護保険法改正案が4月27日、衆院厚生労働委員会で一部修正の上、自民・公明、民主の賛成多数で可決されました。今後、5月10日の衆院本会議で可決され参院での審議を経て、今国会で成立する見込みです。
◇改正のポイントは
この改正案、目的は政府の予想を大きく超え増え続ける介護給付費の抑制です。
そして主な改正点は
(1)介護の必要度が低い「要支援」や「要介護1」の人を対象に筋トレなどを行う「介護予防サービス」を新たに導入する
(2)今まで介護保険でまかなわれている施設入所者に対する食費や居住費を自己負担に変えるというものです。
◇論点はここだ
国会の委員会審議では介護予防の柱とされる「筋力トレーニング」の有効性や、現在の家事援助サービスが事実上制限されるのではないか、という点に議論が集中しました。また民主党の主張で現在40歳以上の人が支払う保険料の範囲拡大も検討課題として付帯決議がされたのです。
◇とまどう地方自治体
今後、介護予防を実施していくのは保険者である渋谷区をはじめとする地方自治体です。この事業主体は区市町村が設置する「地域包括支援センター」となっていますが、肝心の介護予防サービスの内容やコスト、保健士や指導者の確保策等の具体策は法案成立後に決めるというお粗末さ、これでは自治体はとまどうばかりです。
◎伊藤たけしの判決!!
介護保険制度が超高齢社会を支える切り札だとすれば、今までのサービス重視から予防介護への転換、在宅と施設入所者との負担の公平性を考えた食費・居住費の自己負担などの方向性は正しいものです。しかし、実施主体である地方自治体に十分な新制度の説明がないまま、導入をされれば現場の混乱は必至です。よって今回は、改正介護保険法の方向性は評価しながらも、現場や利用者の不安にきちっと答えられていない現在の審議内容に「はっきりNO!!」です。 |