木を見て森を見ない中山文科相
脱「ゆとり教育」の方向性にNO!!

◇校長先生のぼやき
 先日、ある区立小学校の校長先生と話した際に「文部科学省はゆとり教育を見直す方針のようですね?」と聞いたところ、『冗談じゃないですよ!総合学習をはじめとする「ゆとり教育」導入に何年もかけて苦労してきたのに、これでは教育現場は混乱しますよ』とのこと、さらには「こんなことなら、はじめから週5日制なんか隔週で良かったんですよ」と、すっかりぼやかれてしまいました。

◇中山文科相の発言
 中山文部科学大臣は1月中旬、日本が世界的な学力テストで学力低下が見られるとの理由で、突然ゆとり教育の目玉である「総合学習」の削減や学校週5日制見直しを示唆する発言をしました。引き続き2月には中央教育審議会(文科省の諮問機関)の場で、「ゆとり教育」を柱とした現行の学習指導要領について、今年秋までに全面的に見直すよう要請したのです。

◇ゆとり教育とは?
 「ゆとり教育」とは、80年代の非行やいじめ、不登校の急増を受け、詰め込み教育の反省から「自ら学び考える力」や「生きる力」への取り組みが始まり、02年に「完全学校週5日制」と「総合的学習」を導入し、一定の結実を見ました。

◇渋谷区の取り組み
 
「ゆとり教育」の推進は学習内容の3割削減と相まって、関係者の「学力低下論争」を呼びました。この声に対しても現場サイドである渋谷区教育委員会は様々な努力によって問題点を克服してきました。今年度から全ての小・中学校で始まる「2学期制」で、現行に比べて20数時間(約1週間分)の授業時間が確保され「習熟度別学習」で基礎基本から落ちこぼれる子を無くす取り組み等を行っているのです。

◎伊藤たけしの判決!!
 
私はこの「学力低下論争」は約20年間にわたり推進されてきた「ゆとり教育」に対する一つの揺り戻しではないかと考えます。大きな方向性として「ゆとり教育」が間違っているはずはないと思いますし、渋谷区の取り組みを見ても「ゆとり」と「学力向上」の共存は充分可能だと考えます。よって今回は、総合的学習や完全学校週5日制の功罪をしっかり検証することなく、国際学力調査の結果だけですぐに、脱「ゆとり教育」に梶を切った中山文科相の無定見さと、この流れを是とするような社会の動きに「はっきりNO!!」です。