課税は手段、目的ではないはず
豊島区の放置自転車税にNO!!
◇同意した総務省
 
豊島区が全国初の導入を目指している「放置自転車等対策推進税(放置自転車税)」、同区は昨年11月議会にて同条例を成立させ、12月に総務省の同意を得る手続きをとりました。しかし、課税対象とされたJRをはじめとする鉄道各社の猛反発もあり、麻生総務大臣は今年5月、関係者の再協議を求め、判断を一時棚上げしましたが、一転9月13日には「同意」に梶を切りました。

◇法定外目的税
 これは2000年4月に「地方分権一括法」が施行され「法定外目的税」が創設、自治体による課税自主権が広がったことや地方分権推進の流れの中、地方税法上も国としては「同意」せざるを得ないとの判断が働いたものと思われます。東京23区では、先に杉並区が「環境税(レジ袋税)」を成立させています。

◇対決姿勢
 年間2億円もの課税が求められているJR東日本や私鉄の鉄道5社は、区への対決姿勢を強めています。「区が税の導入を強行するのであれば、訴訟も視野に入れた対応を考える」と強調、対する豊島区の高野区長も「区の主張、考え方が国に認められた」とし、訴訟を起こされても勝つ自信はあると、こちらも来年度からの課税に強気の姿勢を崩していません。

◇興味津々
 放置自転車対策に悩む渋谷区をはじめ、各区の担当者は税の導入についてとても興味があるようです。渋谷区の担当課長も「渋谷区では放置自転車税を取るという考えはありませんが、今後の成り行きを注視しています。要は、少しばかりの税金を納めさせるより放置自転車がなくなる対策が大切です」とのコメントでした。

◎伊藤たけしの判決!!!
 私は、ここの2002年7月号でも「取れるところから取る」という安易な法定外目的税にNO!という姿勢を打ち出しています。杉並区の「環境税(レジ袋税)」も成立はしましたが、未だ実際の課税は行われていません。私はこれらの課税は、本来の目的を達成するための一手段に過ぎないと考えます。豊島区にとっても「放置自転車」を無くすことこそ真の目的のはずです。最近になってJRは豊島区に対し、自転車駐車場用地として1,300台分を提供する意向を明らかにしました。「放置自転車税」の成立は、これを見ても一定の効果があったと思われます。よって今回は、豊島区が鉄道各社との放置自転車対策協議を進める間の「放置自転車税」課税開始にはっきりNO!!!です。