◇差し込まれた区長発言
先月9日に開会した定例区議会、本会議冒頭に桑原区長は所信を表明しました。私はその区長発言を受けて、代表質問を行う予定でしたから、事前に内々区長発言の要旨を探っていました。ところが、決まっていた中身に直前になって「三位一体改革と区財源について」との文章が差し込まれました。
◇試算結果に仰天!
小泉改革の目玉の1つ「三位一体改革」、これは、地方分権を推進し、地方の自主性を高めるため(1)国から地方への税源移譲 (2)国庫負担金削減 (3)地方交付税の見直しをセットで行うもので、私もその理念は高く評価しています。しかし、政府が先頃決定した「骨太の方針2004」に盛り込まれた3兆円規模の税源移譲について、渋谷区に当てはめ試算をしてみたところ…、何と!年間20億円から30億円も住民税が減収となったのです。
◇そのカラクリは?
3兆円も国から地方に税源が来るのだから、渋谷区にもかなり税収が増えると思っていたところ、大幅減収とは…?このカラクリは移譲される予定の個人住民税、その仕組みの変更にありました。その変更とは、現行5%、10%、13%と3段階になっていた個人住民税の所得割を、今後一律10%にフラット化しようとするものです。そうなれば、高額納税者の少ない地方の自治体は大いに助かりますが、渋谷区や都心数区のような所得割13%の納税者が多い自治体では、税率が10%に引き下げられることによる減収が生じてしまうのです。
◇今後の見通しは?
3兆円の税源の分配にあずかりたい全国知事会や、全国市長会をはじめとする地方6団体は、早ばや、前述の理由で税率10%のフラット化を決議しています。東京都も「地方分権改革における東京都の見解」において、税率10%フラット化を支持していますので、渋谷区のような立場に立たされる自治体は都心数区を除き、ほとんど無いことになります。ましてや、すでに地方自治体、国の関心は、3兆円の税源移譲に対応した補助金削減に移ってしまっていますから、区長が私の代表質問に対し「非常に苦しい戦いとなる」と答えたことは本音だと思います。
◎伊藤たけしの判決!!!
区議会では、6月21日の本会議で早速、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、そして東京都知事に宛てた「真の三位一体改革の実現に関する意見書」を議決しました。仲間(同じ立場)の自治体がほとんど無いなか、渋谷区議会や渋谷区の主張は「ごまめの歯ぎしり」にしかならないかもしれません。しかし、一部の自治体を犠牲にして三位一体改革が進められることは決して看過できません。従って今回は、自治体が自らの責任で自主財源を確保し、自主的な行政運営を行うという地方自治の本旨に反する三位一体改革の税源移譲案にはっきりNO!!!です。
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