かすむ地方分権の理念
小手先の三位一体改革にNO!!
◇基本理念
 
昨年末の税制改正で今年度分の「三位一体改革」の内容が固まりました。このテーマは昨年6月号でも取り上げましたのでおさらいになりますが、政府が自治体に配ってきた補助金や交付金を減らすかわりに、税源を地方に移す。これによって地方は自らの判断で行政運営が出来、無駄も省ける。これが小泉首相の唱えた国と地方の税財政改革、いわゆる「三位一体改革」でした。

◇今年度の改革内容
 昨年11月、経済財政諮問会議で小泉首相は今年度1兆円の補助金削減を指示しました。しかし省益を守りたい各省は、どの事業が国にふさわしく、何が地方にふさわしいのかを議論することなく、削りやすいものを地方に押しつけるという内容、義務教育国庫負担金(職員退職手当)や公立保育所への補助金を削り、何とか1兆円を確保しました。

◇それに見合う税源は?
 当所、財務省は補助金削減に対する税源として「たばこ税」を検討していましたが、地方の「基幹税をよこせ!」という反発にあい、結局、基幹税である所得税の一部を「所得譲与税(4250億円)」として地方に渡すほか、「税源移譲予定交付金(2309億円)」を義務教育国庫負担金削減に対応させました。

◇税源と財源は違う!
 しかし、国が「基幹税を渡した」と胸を張る所得譲与税の実体は、国が基準に従って配分する地方交付税に近いもので、税を集めるのも配分するのも国ですから、地方が自主的に判断して増減することは出来ません。これでは、補助金削減分に見合う「財源」が確保されただけで、「税源」が移されたとは言えません。

◎伊藤たけしの判決!!!
 今年度、補助金削減目標の1兆円は確保され、それに見合う税源(財源?)もとりあえずは担保されました。しかし「三位一体改革」のもう一方の柱である「地方交付税(東京都・23区はもらっていない)」見直しはほとんど手つかずの状態です。ましてや、補助金1兆円削減も小手先・その場しのぎの改革であり、理念がありません。今後3年間の工程表の進み具合には大いに期待しますが、今回は真の地方分権を後押ししていない「三位一体改革」にはっきりNO!!!です。