地方財政改革が自治体を殺す!?
混迷する三位一体改革にNO!!
◇三位一体改革とは?
 
これは小泉内閣が構造改革の重要な柱と位置付けているもので、国から地方への 1)税源移譲 2)補助金の削減 3)地方交付税の改革(削減)を同時に進めていこうとすることから「三位一体改革」と呼ばれています。

◇小委員会の試案
 「三位一体改革」の進め方を議論している「地方分権推進会議」の水口小委員長は5月20日、自治体にとって衝撃的な試案を発表しました。自治体に渡すはずだった税源は国が増税を伴う税制改革を行う時まで先送りし、まずは国庫補助金と地方交付税だけを大幅に削減するというものだったからです。これでは「仕事は増やすが給料は減らす」と言っているようなもの、地方自治体は完全に干上がってしまいます。

◇猛反発する自治体
 この試案を受けた全国の自治体は当然猛反発をしています。5月13日に鳥取県の片山知事、岩手県の増田知事らが中心になり「緊急アピール」を発表し、分権会議に怒りをぶつけました。また、5月20日には東京23区区長会と東京市長会が連名で「税源移譲を前提とした三位一体改革の実現に向けた緊急要望」を分権会議議長、財務大臣、総務大臣に提出しました。47都道府県中、唯一、富裕団体として地方交付税を受け取っていない東京都、23区でさえ国庫補助金のカットは義務教育費や保育園運営費に大きな負担を強いられることになります。ましてや、地方交付税、補助金頼みの全国地方自治体にとってはまさに死活問題なのです。

◇国の本音は?
 現在、国と地方を合わせて700兆円を超える借金を抱えています。この深刻な財政危機を打破するため、国は躍起になって各種「構造改革」を進めています。しかし、その本心には、まずは国の負担を減らすことが先で地方自治体は後回しという姿勢が見て取れます。私には国が進める「市町村合併」も行き着くところ国庫負担軽減策だと映りますし、この「三位一体改革」においても住民税や地方消費税等、安定的な税源移譲が同時に行われなければ返って地方分権の流れを止めるものだと判断せざるを得ません。

◎伊藤たけしの判決!!!
 政府は6月末にまとめる「骨太の方針」に、この「三位一体改革」のスケジュールを盛り込むとしています。地方自治体が従来の地方交付税、補助金頼みの行政から脱却するためにも税源移譲を盛り込んだ内容が求められています。しかし、補助金削減1つをとっても既得権益を奪われる形の省庁や族議員の反発も大きいと予想されます。最後に決断するのはやはり政治、小泉総理のリーダーシップにかかっています。小泉総理の英断に期待しつつも今回は、現在の混迷を極めている状況と地方分権の流れに逆行する税源移譲を伴わない「三位(二位)一体改革」にははっきりNO!!!です。