◇8月5日の攻防
8月5日、「住基ネット」(住民基本台帳ネットワーク)が稼働しました。しかし出発に至るまでの経過には、住基ネットの中止、凍結、延期などを求める様々な反対の声がマスコミを通じて流れました。7月22日、福島県矢祭町が「個人情報が守られない」として、全国初の離脱を表明、杉並区と国分寺市も同じ理由で相次いで不参加を決めました。人口345万人の横浜市は「市民選択制」を取るとして当面ネットには接続しない方針を決定。国会では野党から「住基ネット凍結法案」が提出され、全国自治体の議会や首長からも100を超える反対の意見書・要望書などが提出(渋谷区は未提出)されたのです。私の事務所にも「反対表明するべき」とのメールや電話が数多く入りました。
◇そもそも住基ネットとは?
全国民1人1人の住民票に11桁の番号を付け、(1)氏名(2)生年月日(3)性別(4)住所の4情報を国や自治体の専用回線で結び、全国共通で本人確認を行うためのシステムです。これは電子政府、電子自治体構築への重要な基盤となるだけでなく、住民サービスの向上、行政の効率化なども図れると
されています。8月5日からの第一次サービスでは行政機関への届出や申請に際しての住民票の写しの添付省略が可能となり、来年8月からの第二次サービスでは、全国どこの自治体からでも住民票の写しが手に入る他、写真付きの「住基カード」は証明書としても使えるようになります。
◇反対派・慎重派の論点
住基ネットに反対・慎重な立場の人の論点は、大きく次の3点に集約されます。
(1)個人情報保護法案の成立と住基ネットの稼働はセットであり、故小渕首相も国会でその認識を示している。したがって個人情報保護法案が継続審議となる中、住基ネットを接続すべきでない。
(2)国民全員のプライバシーが政府に蓄積されて監視国家になる。
(3)住基ネットにハッカーが侵入したり、自治体職員が不正使用をしたりして個人のプライバシー情報が流出する。
というものです。
◇反論はこうだ!!
(1)に関しては、当然個人情報保護法案が成立してこそ、住基ネットもパーフェクトなものになると思います。しかし今回の法案は、メディア規制がネックとなり継続審議になっているもので、既に個人情報保護の観点は示されています。さらに住基ネットの基になる「改正住民基本台帳法」のなかで個人情報保護は厳格に規定されているのです。
(2)については住基ネットが様々な個人情報を一元的に収集管理することを法律で禁じています。また、このシステムは地方自治体共同のもので国の管理ではありません。したがって、いわゆる「国民総背番号制」とは全く異なるものなのです。
(3)に関しても、専用回線が使用され、障壁システムも設けるなどハードに関しては現在の最高水準のものだと思われます。また各自治体は担当職員を厳しく限定していますし、改正住基法では罰則を普通の守秘義務の倍にあたる懲役2年以下にまで引き上げています。さらに住基ネットが保有する4情報は
今でも各自治体で閲覧出来る公開情報であることも付け加えておきます。
◎伊藤たけしの判決!!!
渋谷区でも8月5日接続以来、約1ヶ月が経過しました。この間11桁のコード番号に4(死)や9(苦)が多いので変えて欲しいという要望や、通知ハガキが届かない、コード番号が透けて見えるのではとの若干のクレームがあったようですが、区職員が誠実に対応しおおむね順調に稼働しています。また個人情報保護にも「セキュリティ対策本部」を庁内に設け、万全を期しています。このような中、論旨に的確な裏付けがなく多分に情緒的・非現実的でいたずらに国民不安をあおる住基ネット反対論にはっきりNO!!!です。
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